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ラブ千葉のお仕事

佐倉クラフトビール ロコビア 鍵谷百代さん

「おばあちゃんになっても造ります」

佐倉 ロコビア
佐倉クラフトビールロコビア
鍵谷 百代さん

http://www.locobeer.jp/
 
  知人から少し聞いていた、「佐倉でクラフトビールを造っているのは女性」だということ。どんな女性が造っているとても気になっているとき、「国際女性デーに向けた特別限定ビールの醸造」の記事。早速、お時間をいただき、お会いして来ました。

■事務職からの転身
ある日あった求人募集がきっかけで、シモアールというお酒の量販店の募集に目が留まり採用された鍵谷さん。「事務は好きじゃなかった」といいながらも、事務職に。しかし、すぐに会社の新規事業で店舗での販売の異動したそうだ。でも、それはまだビールを造る現場ではなかった。そして数年が経ち、「クラフトビールを造る」ことが会社の方針で決定し、なんと21歳でビール造りをはじめることに。
その時期は1998年。各地では、観光地のお土産にビール事業は地ビール解禁とともに進んでいる中、後発となっていた。

■ビールが好きではなかった
21歳で始めた当初、それほどビールが好きではなかったという鍵谷さん。「苦い」のが特にネックだったそうだが、「ビールの造り方」なんていう本を見ながら造られた最初のビールは、まさに「苦くないビール」だったそうだ。今で思うと「ビールっぽくないビール」。鍵谷さんは苦いボールが苦手でしたよね。だとしたら、そのビールは好みだったんじゃないですか?と聞くと、「確かに。でも売れるビールではありませんでした」
製法は途中まで出来たものを最終的にビールとして造り上げるだけの工程だったそうだ。でも、賞に出しても評価は全然得られるものではなかった。そんな試行錯誤の時期が1年続いた。

佐倉 ロコビア

■改革
「このままじゃいけない」。会社も鍵谷さんも思い始め、ビール醸造を始めて1年後には設備に多額の投資をしアメリカから本格的な機械を導入した。そんな事を会社が動いている中、鍵谷さんはその時も「ビールの造り方」を読み漁っていた。「原料と造り手がどんなによくても、設備がよくないといいものは造れないんです」と、当時を振り返りながらそう話す。
今まで、途中まで出来たものを仕入れることをやめ、すべてイチから造ることになった。もちろん、そうなると時間も手間もかかったが、満足行く味が造られはじめて行った。それは世界最大のビールコンペティションでもあるワールドビアカップで銀賞、ビアセレクションやモンドセレクションでは金賞と周りがこのロコビアの味を認め始めていった。

■すべてひとり
すべてこのブルワリーの作業をこなす鍵谷さん。「醸造も営業も経理もすべてひとりなんです」
正直、驚いた。21歳の女子にビール造りを任せる会社にも驚いたが、それをこなす鍵谷さんにも。「女性にとってよくないことが多い現場なんです。」と言うのが、取材した場所は、ビールを製造している工場内だったが、その温度を保つために寒い。そして、ビールが入ったタンクや瓶ビールのケースなど一人で運ばないといけない。重労働だ。
「でも、一番の苦手が経理」という。そこを他に任せられればと、旦那様が協力してくれるようになった。とは言え、ほぼひとり。

■周りの理解と協力
鍵谷さんがビール造りを始めてから、縁あって結婚し、出産も経験した。「その時は(この工場は)どうしたんですか?」との問いに、今だから思うと苦渋の決断だったんだろう、申し訳なかったと思えるのが会社に対してだと言う。つい数年前から、彼女はこの工場を会社から受け継いだ。それまでは会社の従業員として、ビールの製造にあたっていたが、その当時、会社はこの工場を鍵谷さんの出産にあわせストップしたそうだ。他にスタッフをいれれば済む事かもしれないが、「私が戻ってきた際、私がやりずらいと思わないようにと、会社が配慮してくれたんです」

そして、工場を受け継いでみて初めて工場を運営していくことがどれだけ大変だったことかを、改めて感じたそうだ。鍵谷さんはこの取材で何度も、「下野社長あって自分がある」と言うが、それは彼女自身の人格が周りをそうさせているんだろう。大きな恩恵を受けられる、そういう人は多分にその日と自身の人としての魅力があるからではないだろうか。

■おばあさんになっても

重労働も多く、女性にはいい環境ではない工場での作業。つい気になって聞いてみたのが、「いつまでこの作業を続けますか?(続けられると思いますか?)」ということだった。きっと神妙な面持ちで「そうなんですよ…」と言う言葉を想像したが、鍵谷さんからはそんな言葉は得られなかった。

「ずっとです。」

ずっと?そう、ずっと。

自分自身をきちんとメンテナンスしていけば、年齢を重ねても健康的に生活をしていけると、TVを観ていて元気な年配の方を拝見し思ったそうだ。だから、そうすることで今出来ていることは出来なくないと。また、仕事場に入ると、余計なことは考えないそうです。精神的な事はビールを造る上でも影響するので、精神面でも安定を図れるようにしているとか。

ビールを造り始め、そのビールを買ってくれる人、またそのビールを扱う飲食店で綺麗なグラスに注がれ、それにあった料理と一緒に出されると、「コレが私が作ったビール?」と思うと嬉しくなるそうです。佐倉のブルワリーでクラフトビールの造り手である鍵谷さんと、ロコビアのこれからに注目していきたいと思わずにいられませんでした。

 佐倉 ロコビア
 
手は人の人生をうつすものだといわれていますが、取材してとても印象的だった彼女の手。好きですね、職人の手です。

合同会社ロコビア
千葉県佐倉市上座1193番地